男性が子どもを作れないようにするパイプカット手術など、患者のあらゆる要望を請け負うのが”Dr.クインチ”こと「権藤弓一朗」です。
思ったことをそのまま言ってしまう”口の悪さ”はあるものの、今まで手術に失敗したことは1度もありません。
今日もまた、弓一朗に救いを求める患者がクリニックを訪れます。
最初にネームが担当から回ってきた時「なんだこれ、すごい面白いぞ⁈」と唸った作品『Dr.クインチ』。グランドジャンプ新人賞出身のホープです。 https://t.co/WQ2YPoODWf
— かねじょう(漫画編集者) (@d_kanejo) December 5, 2018
「Dr.クインチ4巻 case21」のネタバレ・あらすじ
堺 鷹志の父「堺 直治」は、全国各地に326店舗を展開するスーパーマーケットチェーン「サカイヤ」の創設者です。
「サカイヤ」を創設して軌道に乗せた偉大な直治の背中を、鷹志はずっと追いかけてきました。
まだ鷹志が幼なかったある日のこと、突然母親が直治を連れてきました。
母親と二人で暮らしていた鷹志でしたが、この瞬間から直治が父親になったのです。
出会った当初から直治のことが気に入っていた鷹志は、直治を喜ばせようと勉強や運動を頑張りました。
そして、鷹志がテストで結果を出すと、直治は自分のことのように大喜び!
その姿を見て鷹志も、とても喜んでいたのです。
しかし、鷹志と直治は顔の造りがあまりにも違うため、周りから「似てない」と言われることがよくありました。
そんな時直治は、「トンビが鷹を生んだんや!」・・・と答えますが、その言葉を聞いた鷹志は「ちがう・・鷹がトンビを選んでくれたんだ」・・・と心の中で呟くのでした。
サカイヤを成長させた経営能力はもちろん、情に厚い一面をも持ち合わせている直治を間近で見て育った鷹志は、「ボクは父のような男になりたい!」・・・と、幼い頃からずっと思い続けていたのです。
そんな鷹志が18歳を迎えたある日、1通の封筒を直治から手渡されます。
その封筒の中身は、なんと鷹志の”実の父親”の住所が記載された紙でした。
「おまえはもう大人や、自由にしたらええ!」・・・と、実の親に会いたければ会っても構わないとにこやかに話す直治・・・
しかし次の瞬間、鷹志は封も開けず封筒をビリビリと破り捨ててしまいます!
「父さん、ボクらは血よりも濃い”キズナ”で繋がってるんじゃないの?」・・・と言い放つ鷹志!
「こんなバカバカしいこと」・・・と、鷹志が実の父親に会いに行く気は毛頭ありません。
妻に相談することもなく取った行動に、直治は「すまん母さん」・・・と、ただただ謝るしかありませんでした。
その後、20歳になった鷹志は直治と顔が似ていないことにどうしようもない劣等感を抱くようになります。
そしてアメリカに留学していた時に、直治が亡くなった・・・という急な訃報を受けるのでした。
帰国して葬儀に参列しながら、鷹志は胸に決めたことがあります。
それは直治のやってきた事業を引き継ぐ決意・・・
そしてもう一つ、今まで憧れてやまなかった直治と「”同じ顔”になる!」・・・ということ!
鷹志は直治と同じ顔になるために、藤美容クリニックを訪れます。
しかし鷹志の顔は、直治とは似ても似つかない目鼻立ちの整ったイケメンです。
それに対して直治は、お世辞にも男前などとはいいがたい猿顔・・・
わざわざ猿顔になろうとする鷹志の考えを聞いて、執刀医の弓一朗は不思議がります。
ところが鷹志は自分の考えを頑なに変えようとはせず、こんな自分の顔に劣等感を抱いて生きてきた・・・という心情を話しますが、院長の藤美恵里子は思わず首を傾げてしまいます。
わざわざイケメンの顔を手術で変えて、猿のような顔になろうとしているのですから、恵里子が理解できないのも無理もないことです。
人が劣等感を抱くのは形そのものではなく、「誰かのヒソヒソ話や他人と比べることが原因だ」・・・と、弓一郎は劣等感に対する考えを話しますが、それでも鷹志は聞く耳を持ちません!
そして、何が何でも直治と同じ「猿のような顔」になりたい!・・・と訴える鷹志の依頼を、弓一朗は引き受けることにします!
「その渇き、”一旦”引き受けた!」
弓一郎が言った”一旦”とは、はたしてどういう意味なのか・・・?
「Dr.クインチ4巻 case21」を読んだ感想
実の親子ではなくても鷹志と直治の間に強固な絆ができていることに、心がジンワリと温かくなりました。
血の繋がらない父親と子どもの間に溝ができる話はよくありますが、今回はまったく逆!
それどころか、端正な顔立ちの鷹志が父に憧れるあまり、整形して父親のようになりたいという突拍子もない展開にビックリ仰天です!
院長の恵里子が困惑していましたが、その気持ちはよく分かりますね。
顔を整形しようとする理由は人それぞれ・・・
悪いところを良くするにしても、生まれつき整っている造りを崩すにしても、どちらも結局本人のコンプレックスしだいなんですね。